今回はホームカラー(市販のカラー)と美容院のカラー剤の違いについてです。
違いは大きく分けて3つあります。
ダメージに関することで2つ。色持ちに関することで1つですね。
- 使用するアルカリ剤の違い(ダメージ)
- ”施術者の腕”や処理剤・保護剤で処理できるかどうかの違い(ダメージ)
- 染料の違い(色持ち)
以下細かく説明していきます。
ヘアカラーの違い・アルカリ剤の違い
まず一つ目のホームカラーと美容院のカラーの違いは、アルカリ剤というものに何を利用しているのかの違いです。
このアルカリ剤というのは毛髪の脱色や発色に必要な成分でもあり、しかしながら毛髪ダメージの元となる成分でもあります。
で、その中でも「どのアルカリ剤を利用しているのか」で特徴が分かれます。
アルカリ剤の種類
ヘアカラーに配合されるアルカリ剤には、アンモニア水とモノエタノールアミンがあります。この2つのどちらかを利用するかでそれぞれ特徴が出ます。
アンモニア水の場合
アンモニア水は揮発性ですので、毛髪の脱色や発色に影響を与えたのち、揮発して毛髪から出ていきます。その代わり揮発するので刺激臭がします。
モノエタノールアミン
モノエタノールアミンは揮発しません。だからこそ刺激臭もしません。揮発しないのでダメージの元「アルカリ(モノエタノールアミン)」が毛髪内部に残りやすいです。
アンモニア水とモノエタノールアミンどちらがいい?
ホームカラーは、なるべく刺激臭などの薬品臭さがないものが好まれます。そしてイメージ的にも薬品臭がしない方が優しいお薬の気がしますが、上記のように大間違いです。
揮発しないということは、毛髪内部にダメージの元「アルカリ」が残留アルカリとして残存するので、カラー後も毛髪内部を破壊してダメージを進行させてしまいます。
※ホームカラーの中にもアンモニア水を利用しているカラー剤も増えてきました。成分表を見てアンモニア水かモノエタノールアミンかどちらが書かれてるかを確認してみてください。(最近はアンモニア水ベースでも、マスキング技術(匂いを覆う)が進んで以前よりも刺激臭が控えめになっています)
※美容院のカラー剤に配合されているアンモニア水でも、残留アルカリは残ります。そのため施術後は残留アルカリを除去する処理が必須です。
それに対してホームカラーでモノエタノールアミン配合のカラー剤を利用した場合、アンモニア水よりも残留しやすいうえに、自宅では残留アルカリを除去する作業ができないので、毛髪への負担は甚大です。残留したアルカリが悪さをするので施術後すぐよりも1月後・2月後の方がダメージの違いが顕著に表れてきます。
もう一つの違いはこちら。
施術方法・技術の差による違い
美容院のカラー剤とホームカラーで製品的に大きく違うのは上記アルカリ剤の違いが大きいです。ですが最近はホームカラーでアンモニア水を利用している製品もかなり増えてきました(既述のようにマスキング力が上がりアンモニア水ベースでも臭いが気にならなくなってきたので)。
そうなると、ほとんど美容院のカラー剤と基本の作りは同じです。
でも、その場合でも美容院で施術するのと、お客さんがご自宅でする場合とは大きな違いがあります。
ヘアカラーでダメージになる成分は2つあります。
一つは前述のアルカリ剤です。そして、もう一つは過酸化水素です。どちらも濃度が濃くなるほど毛髪の負担になるのですが、美容院ではそれぞれ濃度の違うお薬の用意があります。
どう使い分けるのかと言えば、
例えば、新生毛で健康毛の場合、強いお薬じゃないとリフトアップできませんのでアルカリも過酸化水素も濃度が一番濃いものを利用するのが一般的です。
そして、既に明るくなっている既染毛は、そのダメージレベルやご希望のお色に合わせて必要最低限のアルカリや過酸化水素濃度を利用することで必要最低限のダメージで施術をすることが可能になります。
逆にホームカラーは、誰でも失敗なく染まるように作ってありますので(この場合の失敗というのは傷むことではなく、希望の色味にならないことです)、一番濃度の濃い状態で作られています。
ですので新生毛に対しては、美容院もホームカラーでもリスクは同じです。
しかしホームカラーの場合、薬剤の塗り分けができませんので、既染毛に対してこれほどの濃度は必要ないのに、健康毛用の濃度のカラー剤で毛先まで塗布するんですよね(>_<)
そんな恐ろしいこと美容師としてはできません(‘Д’)
このように「ダメージの元」になるアルカリと過酸化水素濃度を美容院では必要最低限の濃度で利用することでダメージを必要最低限に抑えるようにコントロールできます。
それ以外にも、ダメージ部分に施術前に「処理剤・保護剤」と言われるものを塗布することでカラーダメージから毛髪を守ったり、既述のように残留するアルカリや過酸化水素を施術後に除去作業することで、カラー後のダメージの元を除去したりと・・・。
という感じで、美容院のカラー剤と市販のカラー剤がどちらもアンモニア水ベースであるなら、ほとんど製品の違いはありません。
違いは、カラー周辺アイテムの有無や、施術者がダメージコントロールをできるかの違いです。
これが最も大きな美容院のカラー剤と市販のホームカラー剤との違いです。
色持ちの違いはなぜ起こる?
ホームカラーとサロンカラーには「色持ちの違い」があります。
当然美容院で染めた方が色持ちが良いのですが、それは施術者の技術もさることながら、そもそも染料の配合バランスに違いがあります。
美容院のカラー剤は、毛髪内部に浸透する染料が多く配合されていて、それにプラスして表面寄りで発色する鮮やかな染料という組み合わせで色味を表現しています。
それに対してホームカラー剤は、内部に浸透する染料の配合が少なく、表面で直接発色してくれる染料の配合量が多いです。
なぜこのような違いがあるかというと、一つは毛髪内部まで浸透する色素は浸透までに時間がかかるからです。ですので手軽にできるのがウリのホームカラーでは時間を置く時間が長いものは嫌がられます。
さらに、毛髪表面で直接発色してくれるものの方が色落ちは早いものの、一般の方には失敗しずらいです(繰り返しますが失敗というのは「傷む」ということではなく、希望の色にならないということです)。
そのような理由から色持ちの違いが現れます。
ホームカラーをうまく利用するには?
もちろん以上のことを読んで頂ければ「美容院でカラーをした方が良いんだろうな。」というのはご理解いただけると思います。
で、僕的にも「美容院ジプシーの原因の一つにホームカラーがある」と以前にも記事にしているくらいですので当然圧倒的に美容院でのカラーがおすすめです!!
⇒「ホームカラーや市販シャンプーが美容院ジプシーの原因になる?」
でも、、、
金銭的な理由やめんどくさい・・・などなど色々な理由でホームカラーを選択する方が多くいらっしゃることも理解しています。
ということでせめて「ホームカラーをする場合にはこれに気を付けていただきたい!!」ということをちょこっと・・・。
- 成分表を見てアンモニア水と記載があるものを利用する
- お薬の塗布は新生毛のみ。
- 仮に既染毛にも塗布をしたい場合は、濡らしたうえでご自宅にあるトリートメントを既染毛に塗布して髪の毛を守ってください。
- 泡カラーは既染毛にもついてしまうのでダメージリスクが高くお勧めしない。しかしムラにはなりづらいので健康毛の人が利用する分にはOK
この辺を守っていただくだけでも、ホームカラーでのダメージは抑えていけるのではないかと思います。
さらに!!
残留アルカリの除去が出来るヘマチンが配合されているシャンプーを利用すると「ダメージケア」&「褪色防止」になりますよ。
⇒「ヘアカラーの色落ち(退色・褪色)防止!色持ちにおすすめシャンプーランキング」
まあそれでも美容院でカラーをされた方が良いと思いますよ。
まとめ
この記事は、「美容院にお金を落としてほしいから」という目的で書いている記事ではありません(笑)
ホントに美容院でカラーをされる方が圧倒的に良いと思って書いています。
ご自分でカラーを繰り返してダメージが進んでいる毛髪は、美容院でのカラーやパーマや縮毛矯正などのケミカルメニューをするときの大きな弊害になる可能性もあります。
恐らく一般の方が想像している以上にホームカラーの繰り返しは危険なんですよね(>_<)
中にはいつもホームカラーをされている人で「たまには美容院でカラーをしてみようかな」と、美容院でカラーをしてもらったけど「自分でするのとそこまで変わんないじゃん!!」という感想に行きついて、その後ずっとホームカラーです。という人もいらっしゃると思いますが、ホームカラーの合間に1回美容院でカラーをしてもあまり違いは判らないと思います。
だって、シャンプーの解析記事でよく書いていますが、毛髪は死んだ細胞ですので一度傷んでしまえば修復されることはありません。
ということはホームカラーでかなりダメージが進んでしまった場合、美容院でのカラーを一回したところでそのダメージが元に戻ることはないんです。
何度も繰り返し美容院でカラーをしていくことで、ダメージの蓄積が回避されますので半年後・1年後に振り返った時に「ホームカラーをしていた時とは髪の感触・ダメージ具合が全然違う♪」と感じていただけるものなんですよね。
いろいろ納得していただけた人は、ご自分の毛髪のためにもぜひ美容院でのカラーリングをおすすめいたします<m(__)m>
https://www.youtube.com/watch?v=aKoWU-OEmzg
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